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起爆剤

poem

元来、世界で文学といえば、詩であった。

 
 現代のような小説が主流になったのは、
まだほんの百年にも満たない。
 西洋では詩も絵画も音楽も貴族のためのもので、
 市井の臣に芸術は存在しえなかった。
娯楽としての芸術としては舞台が中心で、
のちに今の映画やドラマに繋がっている。
  
19世紀末から芸術潮流が長く続く時代は終焉する。
 矢継ぎ早に様々な革新が起こる。
イタリアでは舞台と音楽が融合しオペラとなり、
ジャズのモードと映画が盛んになったアメリカでは
 ミュージカルが発展した。
 建築、ファッション、写真、漫画、宝飾、陶器、広告。
アートは生活に結びつき、流行とモードを作り出した。

いつしか、詩は晦渋で欺瞞に満ちた存在とされ、
 川柳や短歌のように親しまれず、敬遠されていく。
 今やどうであろう。電車やバスに乗る人々は、
スマホタブレット無しでは呼吸もできないかのようだ。

空を流れる雲の流れをただ追いかけ、
水面を渡る風に目を見張り、
 霖雨が明けた泥濘の水溜りに青空を見つけ、
 吹く風の変化を深呼吸で受け留め、
 見えてくる自らの秘めた思いと対峙する。
  
       本当はどうしたいのか。
        誤魔化してはいないか。
         なにに縛られているのか。
        どう取捨選択すべきか。
  
      詩は書く者に真情を吐露させる
          起爆剤となる。

     詩は読む者に書く者を投影させ
          カタルシスとなる。

元来、世界で文学といえば、詩であった。

フランス詩大系

フランス詩大系

これまで最も衝撃を受けたJPOP、邦楽ロックの隠れ名曲 TOP5

music

かつて繰り返し聴いた音楽は、必ずしも誰もが認める美しいメロディーの名曲とは限らない。時には激しい衝動に駆られ、ワイルドなビートと攻撃的な言葉の雨に打たれたいと思うときもある。今回は、記憶に残る数々の邦楽のなかから、とりわけ歌詞や楽曲の斬新さに甚大な衝撃を受けた5曲をセレクトしてみた。

5位 佐野元春「俺は最低」
同アルバムに収録された彼の最大のヒット曲「約束の橋」のようなキャッチーさとは
全く相容れない赤裸々な個人的心情を吐露した歌詞と、前衛的なサウンド・プロダクション。

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

4位 エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」
NHKでは放送禁止になった反骨精神全開の攻撃性はこれぞロックそのものだと思った。

good morning

good morning

3位 THE BOOM「手紙」
日本に於けるポエトリー・リーディングの元祖は1985年に既に
佐野元春が幻のカセットブック「Electric garden」で
先取りしているが、宮沢のペンによるシニカルな厭世感はそれを凌駕している。
http://www.dailymotion.com/video/xgcpn4_%E6%89%8B%E7%B4%99-tegami-the-boom_music

TROPICALISM-0°

TROPICALISM-0°

2位 尾崎豊「核 (CORE) <12inchシングルversion>」
廃盤になっているが是非アナログ12inchを探して聴いてほしい。
このレコードにノイズが増えた数だけ、魂が揺さぶられた。

街路樹

街路樹

1位 岡本真夜「十七歳の天使」
収録アルバム『Hello』は一時期聴きまくった。どの楽曲も歌詞が秀逸だが、
実話を元にした「十七歳の天使」を初めて聴いた時に湧き出た感情を
表現できる言葉を知らない。
http://www.tudou.com/programs/view/0ikcuRukW18

Hello

Hello

閉ざされた過去

essay

近頃よくあることだが、目覚まし時計でセットした時刻よりもほんの数分早く目が覚めた。数日前までのような蝉の合唱も収まり、寝室は静まり返っていたせいか、既に日は高かいというのに意識はすぐにははっきりとせず、ぼんやりと未だ覚えている夢の内容を辿り直し、反芻していた。突拍子もない破天荒なファンタジーな内容のことも少なくないが、今朝の夢は実に生々しい感じがした。ただ、時代設定がずいぶんと古いようだった。本来であれば学生服を身に付けているところだが、服装や見ているはずの色や風景などは一切浮かんでこない。そこはいつもと同じだった。大抵の場合、細かな背景は実に曖昧な中、自分の思いだけが強烈に存在し、矛盾に満ちたストーリーを強引に紡いでいく。夢の世界では、史実に基づく時代考証や常識などに囚われることなく、自由設定で事が運んでいく。それなのに、今朝の場合まるで勝手が違っていた。長いこと忘れていた人たちの懐かしい顔が次々と浮かんでは、聞き覚えのあるやり取りが実施され、それに伴い発生する数々の難局に対峙した僕は、まるでタイムマシンで過去の世界を覗いた時のように、忠実に過去の出来事を再現し、ままならない結末のたびに、自業自得を悔んだり、理不尽な主張を突き付けた他人を恨んだりしていた。タイムラグは相当なのだが、場面場面で登場する人物一人一人の名前も、表情も、言葉も、驚くほど正確に事の仔細を再現できた。次第に意識がはっきりした僕は、記憶が再び閉ざされないうちに全てを書き残そうと思い立った。こういうときはキーボードの入力ではなく、手書きが相応しい。デスクに置いてあったメモ用紙はすぐに埋め尽くされ、何枚にも渡って自分史を書き殴った。
 こうして振り返ると、学生時代の自分はずいぶんと苦しいことがあったようだ。今になってみれば、どれもこれも小さな出来事に過ぎないが、所属するコミュニティの中では、当時致命的な打撃となっていた。グーグルが存在しない時代は実に悲惨だ。対処法を教えてくれる誰かや本が無ければ、絶望から這い上がる道は絶たれ、音の無い海底でひっそりと獲物を待つ生き物のようにしてやり過ごすか、何もかも擲ちドロップアウトするか、その二択しか残されていないと思ってきた。どこにも居場所もなく、希望を持てず、投げ遣りに生きるしかないと思える人生に一体何の価値があるというのか。あの頃は死を思わない日は一日も無かった。唯一、小説を読んでいるときだけ、世界は美しいと感じることができた。不思議なことに、世の中には、そういう男を放っておけない女性が年上、年下に関わらず少なからずいて、村上春樹の小説の僕のような出来事は時折起こったが、心を開くことなく身を寄せ合って生きられるほど男女は分かりあえるものではなかった。
 書き続けていく内、当時の自分について二つのことに気が付いた。ひとつは、継続する意志の強さ。なんだかんだいって中退することも、部活動や生徒会活動を自主退部することも、自死することもなく、最後までやり通せているのはただただ奇跡でしかない。そんなに辛いならやめればと言ってくれる人は疎か、誰かを信頼し相談しようとすることさえできなかったのだから。思うに、実家ですら居場所ではないと感じていたあの頃の自分が、幽かでも希望を持てる可能性を見出せられるのはやはり学校というコミュニティしかなかったのだと思う。卒業することで、得られるかもしれない「ここではないどこか」で将来活躍するという夢想は、お金も自由もない僕に与えられた最後の砦だったのだろう。もうひとつ気付いたことは、内在する生存機能の強さ。その機能とはすべて忘れるということ。これほど時を経ても思い出せるような辛いことが山のようにあるというのに、これまで思い返したことは卒業以来一度たりともなかった。横浜で暮らすと決まった瞬間、それまで取り巻いてきた悩みや苦しみから一斉に解放され、前だけ見れるように切り替えられた。過去は消すことはできないが、記憶を閉ざすことはできる。事実を思い出しても、負の感情が今の現実を脅かすことはない。人が強く生きられるようにと、脳は都合よく実にアバウトに機能する。なんと素敵なことであろう。そう考えると、沢木耕太郎がかの『深夜特急』で「孤寒」を本来のケチという意味を知らないために、字面だけで自分が孤独で寂しい人生になると言い当てられたと誤解し、そのことを実に美しい文章で綴っていたくだりは、正にそんな脳の機能が齎した名シーンだとつくづく思う。

 

深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)

深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)

 

 

 

 

 

本棚の10冊で自分を表現する<究極の選択編>

book

twitterにて@Artssoyさんが発案したhashtag「#本棚の10冊で自分を表現する」

twitter.com
「あなたはどんな人なのか」の問いに答える代わりとなり得る本は何か。
純粋にそれだけを条件に選り抜いた結果、次のような十冊になった(順不同)。
   
1.『寺山修司幻想劇集』
寺山修司幻想劇集 (平凡社ライブラリー)

寺山修司幻想劇集 (平凡社ライブラリー)

テラヤマだけで10冊選べるくらいに自分を如実に表現してくれるので困った。僕の舞台熱を決定付けたアングラ演劇の分野だけでなく、前衛短歌でも、少年少女詩歌でも、小説でも、エッセイでも、翻訳でも、対談でも、評論でも、彼はあらゆるジャンルで超一流だった。近年でも、『For Ladiesシリーズ ひとりぼっちのあなたに・さよならの城・はだしの恋唄』の復刻版や、未発表の歌集に詩集、雑誌の特集と、死後も尚テラヤマ・ワールドは留まる所を知らない。
 
2.『澁澤龍彦 西欧文芸批評集成』
澁澤龍彦 西欧文芸批評集成 (河出文庫)

澁澤龍彦 西欧文芸批評集成 (河出文庫)

ドラコニア・ワールドも負けず劣らず息の長いブームが続いている。ご多分に漏れず、澁澤&巖谷國士の著作が19世紀フランス文学に傾倒する切っ掛けとなった。多岐に渡る分野の著作の中でも、やはり文芸批評における影響は計り知れない。
 
3.別役実『壊れた風景/象』
別役実 (1) 壊れた風景/象 (ハヤカワ演劇文庫 10)

別役実 (1) 壊れた風景/象 (ハヤカワ演劇文庫 10)

童話、評論、エッセイも素晴らしいが、日本に於ける不条理演劇作家の第一人者としての代表作は外すわけにはいかない。
 
4.『星新一 ショートショート1001』
星新一 ショートショート1001

星新一 ショートショート1001

このショートショート全集を挙げずにはこのリストは完成し得ない。ボルヘスがウェルズをSFの父に推すのなら、僕はこの偉大な日本人の作品群をもって国内SFの嚆矢とする。
 
5.萩尾望都『ポーの一族』
ポーの一族 (1) (小学館文庫)

ポーの一族 (1) (小学館文庫)

厖大な少女漫画作品のことだから、きっと他にも有力候補があるだろうとあれこれ考えてみたが、この歴史的名作以上に相応しいものは遂に見当たらなかった。圧倒的なクオリティは、どんなに時代が移ろっても再読に値するであろう。
 
6.『マン・レイ』
瀧口修造監修の「骰子の7の目」シリーズ復刻版。レイヨグラフィーやソラリゼーション技法の写真やオブジェは、写真表現が持つ芸術性に開眼させてくれた。
 
7.中原淳一『おしゃれの絵本』
おしゃれの絵本―中原淳一ファッションブック

おしゃれの絵本―中原淳一ファッションブック

挿絵画家としてよりも、ファッションデザイナーや若い女性を啓蒙するエッセイストの側面のほうがより後世への影響力が大きいように思う。ヴィオネやモリヌー、チャールズ・ジェームズのエレガントさだけでなく、サン=ローランやカルダン、クレージュらのモダンさも兼ね備えた、真のおしゃれリーダー。
 
8.加藤周一 編『訳詩集』
訳詩集 (近代の詩人)

訳詩集 (近代の詩人)

上田敏訳「海潮音」、堀口大学訳『月下の一群』、永井荷風訳「珊瑚集」、中原中也訳「ランボオ詩集」、福永武彦訳「象牙集」、谷川俊太郎編『愛の詩集』などの名訳詩集の代表作を網羅した贅沢なアンソロジー。
 
9.俵万智『あなたと読む恋の歌百首』
あなたと読む恋の歌百首 (文春文庫)

あなたと読む恋の歌百首 (文春文庫)

啄木、与謝野晶子、寺山、塚本邦雄岡井隆穂村弘。短歌の魅力を学ぶのに、この上ないテキスト。読んでいるそばから、みそひともじでラブレターを書きたくなる。
 
10.千足伸行『アール・ヌーヴォーとアール・デコ』
アール・ヌーヴォーとアール・デコ―甦る黄金時代

アール・ヌーヴォーとアール・デコ―甦る黄金時代

絵画、建築、ガラス工芸、ジュエリー、テーブルウェア、ファッション、インテリア。あらゆる分野で同時代に起こった芸術潮流の名作を網羅した豪華大型本。
 

本棚の10冊で自分を表現する<音楽評論編>

シリーズ第3回は、ソウルやロック、ポップス、ジャズを知るためのガイドブック傑作十傑を選んだ。
  
1.ピーター・バラカン『魂(ソウル)のゆくえ』

魂(ソウル)のゆくえ

魂(ソウル)のゆくえ

ソウル・ミュージック・ガイドの決定版。10年ごとのオススメの10曲を掲載した『ラジオのこちら側で』も。
 
2.『甘茶ソウル百科事典』
甘茶ソウル百科事典

甘茶ソウル百科事典

スウィートソウルに絞った、官能的な音楽への誘い。
 
3.『レコード・コレクターズ増刊 無人島レコード』
豪華100人による究極の選択。続編『無人島レコード2』も。
   
4.橋本徹『Suburbia Suite; Evergreen Review』
Suburbia Suite; Evergreen Review

Suburbia Suite; Evergreen Review

これと『Suburbia suite; Future Antiques』の2冊を開きながら飲むコーヒーは最高に贅沢な休日の過ごし方。
  
5.中田利樹『AOR (ディスク・コレクション) 』
AOR (ディスク・コレクション)

AOR (ディスク・コレクション)

オールカラーで、加筆修正で復刻。しかも800枚も掲載。 金沢寿和『AOR Light Mellow Remaster Plus 』も併せてお勧め。
  
6.金澤寿和『Light Mellow和モノSpecial』
Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~

Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~

木村ユタカ 『ジャパニーズ・シティ・ポップ 』VANDA編『ソフトロック in JAPAN』と共に、今なお注目されるJ-POPの源流が窺い知れる。
 
7.江村幸紀『ソフト・ロック』
ソフト・ロック

ソフト・ロック

メロウ&グルーヴィンなソフト・ロックのアルバム500枚、シングル100枚を掲載。VANDA編『ソフトロック A to Z』も必須。
 
8.『渋谷系 元ネタディスクガイド』
渋谷系 元ネタディスクガイド (\800本 (8))

渋谷系 元ネタディスクガイド (\800本 (8))

オザケン元ネタ全曲解説をしている『前略 小沢健二様』とセットで買えば、90年代J-POPに影響を与えた曲が学べる。
 
9.VANDA編『HARMONY POP』
Bepop 7/HARMONY POP (Be pop (Volume7))

Bepop 7/HARMONY POP (Be pop (Volume7))

ビーチ・ボーイズビー・ジーズ山下達郎などボーカルを軸に集めた好企画。
 
10.鎌田竜也『ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤』
ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤 (講談社プラスアルファ文庫)

ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤 (講談社プラスアルファ文庫)

有名ジャズ喫茶マスター達による定番アルバム選。続編の『JAZZ喫茶マスターの絶対定盤200』の方がもう少しマニアック。

本棚の10冊で自分を表現する<芸術書/実用書/評論集編>

実用書やガイドブックから、何度も読み返したものばかりを選んだ。今回は絶版も含む。
   
1.山崎まどか『オードリーとフランソワーズ 乙女カルチャー入門』

オードリーとフランソワーズ?乙女カルチャー入門

オードリーとフランソワーズ?乙女カルチャー入門

今、最も話してみたい人のひとり。とにかくセンスが素晴らしい。『ブック・イン・ピンク―おしゃれ古本ガイド』『オリーブ少女ライフ』も必携。
   
2.ロジャ・ダブ『香水の歴史』
フォトグラフィー 香水の歴史

フォトグラフィー 香水の歴史

原書房の香水本『世界の香水』『香水瓶の図鑑』『世界香水ガイドⅡ★1885』『調香師が語る香料植物の図鑑』の背表紙が並ぶ本棚ほど美しい本棚があるだろうか。
   
3.海野弘『ヨーロッパの装飾と文様』
ヨーロッパの装飾と文様

ヨーロッパの装飾と文様

海野弘の著書にハズレなし。全部集めたい。とりわけこの本は装幀も含め、完璧だ。
   
4.上田恵介『世界の美しい鳥』
世界の美しい鳥

世界の美しい鳥

人類史上最高の名画でさえも、自然の美には敵わない。『世界のかわいい小鳥』もキュン死必至。
   
5.荒俣宏『ブックス・ビューティフル』
挿絵本の黄金期の稀覯本がここに集結。この本を一度も開かずに死ぬのは不幸極まりない。
   
6.鹿島茂『愛書狂』
愛書狂

愛書狂

十九世紀ロマンチック挿絵本のガイドブックをもう一冊。ただただ美しい。

7.『活字中毒養成ギプス―ジャンル別文庫本ベスト500』

活字中毒養成ギプス―ジャンル別文庫本ベスト500 (角川文庫)

活字中毒養成ギプス―ジャンル別文庫本ベスト500 (角川文庫)

『ジャンル別文庫本ベスト1000』『ジャンル別映画ベスト1000』と共に何度も読み返した。知の集大成。
   
8.『エドマンド・ウィルソン批評集 2 文学』
彼の『アクセルの城』象徴主義文学批評の金字塔。 
   
9.淀川長治,山田宏一,蓮實重彦『映画千夜一夜』
映画千夜一夜

映画千夜一夜

映画の楽しみ方を知りたかったら、真っ先に読むべき指南書。彼らの著作はどれも面白い。
   
10.ジョナサン・ウォルフォード『シューズA‐Z』
シューズA‐Z (GAIA BOOKS)

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  • 作者: ジョナサンウォルフォード,Jonathan Walford,武田裕子
  • 出版社/メーカー: ガイアブックス
  • 発売日: 2011/11
  • メディア: 大型本
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ヒールについての資料的価値の高い一冊。『ヴォーグ・ファッション100年史』『もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー』と並び、デザイナー志望のバイブル

本棚の10冊で自分を表現する<文芸書編>

book

kutabirehatekoさん経由でtwitter:hashtag「#本棚の10冊で自分を表現する」を知り、早速表現してみることに。発案者の須藤岳史さんの10冊に絞ることで「あえて見せない部分を作るからこそ面白い」を尊重しつつ、好きな本、というよりも、自分という人間を他者に表現しようとするならこれ、といえるものを選んでみた。
また、選択条件として、8年前「私家版十大○○小説」ブームがあった際に書いた「私家版世界十大小説」との重複を避け、現在「入手可能な文芸書」だけに絞った。今回対象外となった芸術書や実用書、漫画、音楽や映画のガイドブックについてはまた後日にアップ予定。
   
1.エドガー・アラン・ポオ『詩と詩論』

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ミステリーよりも、フランス象徴詩派の原点となった詩や、その思想を理解するのに役立つ評論が好き。荒俣宏も『ユリイカ』を幻想文学として高く評価した。
 
2.上田敏『海潮音』
上田敏全訳詩集 (岩波文庫 緑 34-1)

上田敏全訳詩集 (岩波文庫 緑 34-1)

西欧近代詩の訳詩集の金字塔。上田敏の生み出す流麗な文体で広く愛誦されたことは日本語表現を豊かに進化させたはず。
 
3.塚本邦雄『百句燦燦 現代俳諧頌』
百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)

百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)

前衛短歌の雄が選ぶ現代版百人一首。日本語の素晴らしさを味わえる。

4.ホルヘ・ルイス・ボルヘス『砂の本』

砂の本 (集英社文庫)

砂の本 (集英社文庫)

「疲れた男のユートピア」をはじめ、マジック・リアリズムの頂点といえる幻想短編集。
 
5.ウィリアム・トマス・ベックフォード『ヴァテック』
ヴァテック (バベルの図書館 23)

ヴァテック (バベルの図書館 23)

ユイスマンスマラルメバイロンも影響を受けた、ゴシック文学の金字塔。
 
6.ナサニエル・ホーソーン『ホーソーン短篇小説集』
ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

後にオースター、カフカに影響を与え、ボルヘスが大絶賛した『ウェイクフィールド』収録。
 
7.トーマス・マン『魔の山』
魔の山〈上〉 (岩波文庫)

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

『トニオ・クレーゲル』『ヴェニスに死す』などの中編もよいが、この長編こそが20世紀文学を代表する最高傑作。

8.フーゴ・フォン・ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』

チャンドス卿の手紙 他十篇 (岩波文庫)

チャンドス卿の手紙 他十篇 (岩波文庫)

ロマン主義の代表的詩人による架空書簡小説。言語の新たな可能性に挑んだ意欲作。

9.トマス・ピンチョン『重力の虹』

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

ポストモダン文学における最重要作品のひとつ。

10.ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』
未来のイヴ (創元ライブラリ)

未来のイヴ (創元ライブラリ)

ボードレールマラルメからも瞻仰される孤高の異才。斎藤磯雄の彫琢の訳文も素晴らしい。