本棚の10冊で自分を表現する<文芸書編>

kutabirehatekoさん経由でtwitter:hashtag「#本棚の10冊で自分を表現する」を知り、早速表現してみることに。発案者の須藤岳史さんの10冊に絞ることで「あえて見せない部分を作るからこそ面白い」を尊重しつつ、好きな本、というよりも、自分という人間を他者に表現しようとするならこれ、といえるものを選んでみた。
また、選択条件として、8年前「私家版十大○○小説」ブームがあった際に書いた「私家版世界十大小説」との重複を避け、現在「入手可能な文芸書」だけに絞った。今回対象外となった芸術書や実用書、漫画、音楽や映画のガイドブックについてはまた後日にアップ予定。
   
1.エドガー・アラン・ポオ『詩と詩論』

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ミステリーよりも、フランス象徴詩派の原点となった詩や、その思想を理解するのに役立つ評論が好き。荒俣宏も『ユリイカ』を幻想文学として高く評価した。
 
2.上田敏『海潮音』
上田敏全訳詩集 (岩波文庫 緑 34-1)

上田敏全訳詩集 (岩波文庫 緑 34-1)

西欧近代詩の訳詩集の金字塔。上田敏の生み出す流麗な文体で広く愛誦されたことは日本語表現を豊かに進化させたはず。
 
3.塚本邦雄『百句燦燦 現代俳諧頌』
百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)

百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)

前衛短歌の雄が選ぶ現代版百人一首。日本語の素晴らしさを味わえる。

4.ホルヘ・ルイス・ボルヘス『砂の本』

砂の本 (集英社文庫)

砂の本 (集英社文庫)

「疲れた男のユートピア」をはじめ、マジック・リアリズムの頂点といえる幻想短編集。
 
5.ウィリアム・トマス・ベックフォード『ヴァテック』
ヴァテック (バベルの図書館 23)

ヴァテック (バベルの図書館 23)

ユイスマンスマラルメバイロンも影響を受けた、ゴシック文学の金字塔。
 
6.ナサニエル・ホーソーン『ホーソーン短篇小説集』
ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

後にオースター、カフカに影響を与え、ボルヘスが大絶賛した『ウェイクフィールド』収録。
 
7.トーマス・マン『魔の山』
魔の山〈上〉 (岩波文庫)

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

『トニオ・クレーゲル』『ヴェニスに死す』などの中編もよいが、この長編こそが20世紀文学を代表する最高傑作。

8.フーゴ・フォン・ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』

チャンドス卿の手紙 他十篇 (岩波文庫)

チャンドス卿の手紙 他十篇 (岩波文庫)

ロマン主義の代表的詩人による架空書簡小説。言語の新たな可能性に挑んだ意欲作。

9.トマス・ピンチョン『重力の虹』

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

ポストモダン文学における最重要作品のひとつ。

10.ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』
未来のイヴ (創元ライブラリ)

未来のイヴ (創元ライブラリ)

ボードレールマラルメからも瞻仰される孤高の異才。斎藤磯雄の彫琢の訳文も素晴らしい。