気付けば男性作家の小説ばかり
- 作者: トルーマン・カポーティ,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/02/29
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (178件) を見る
ポーの影響を多分に感じる幻想的で美しいこの傑作及び「冷血」(1966)*1は、(勿論評価は二分に分かれるが)近代アメリカ文学の古典として必読書であることは間違いないと目されている。
一方、オードリー・ヘップバーンが主演したお洒落映画として有名な「ティファニーで朝食を」に関しては誤訳がひどくて日本では評価が低過ぎる。*2それだけに、村上春樹の新訳は「グレート・ギャツビー」や「ロング・グッドバイ」「キャッチャー・イン・ザ・ライ」以上の存在意義を感じる。カポーティの心温まる児童書「クリスマスの思い出」でも山本容子の挿絵と相俟って泣ける作品に仕上げた実績もあることだし、これまでの不当な評価が改善されることを期待している。
ジム・フシーリ「新潮クレスト・ブックス ペット・サウンズ」
- 作者: ジム・フシーリ,Test,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/02/29
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (87件) を見る
- 作者: 村上春樹,和田誠
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
読む小説を無作為に抽出して読んでいるつもりが、気付けば読後感が優れていたのは、大抵の場合、男性作家であった。
ここ最近で目にした女性作家は倉橋由美子「パルタイ」と尾崎翠「第七官界彷徨」と映画「シュガー&スパイス」の影響で手にした山田詠美「風味絶佳」くらい。「風味絶佳」についていえば、恋が抱える理不尽さを描いた設定は、充分過ぎるほどにリアルで、自分の失恋経験に重ねて泣ける話ではあるのだが、同じ失恋を描いた話なら森見登美彦「太陽の塔」のほうがずっと共感できた。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
- 購入: 74人 クリック: 444回
- この商品を含むブログ (733件) を見る
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/29
- メディア: 単行本
- 購入: 40人 クリック: 2,165回
- この商品を含むブログ (987件) を見る
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 337回
- この商品を含むブログ (440件) を見る
- 作者: 滝本竜彦,安倍吉俊
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 246回
- この商品を含むブログ (398件) を見る
- 作者: 大槻ケンヂ,江口寿史
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/07/12
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 109回
- この商品を含むブログ (170件) を見る
追記
男性の気持ちはやはり男性にしか分からないのかと思ったのだが、「夜は短し歩けよ乙女」によく似た設定の藤谷治「恋するたなだ君」について、現代女流作家の代表であるよしもとばななが「この小説を嫌いな人と、私はきっと気が合わないと思う」と絶賛しているのは意外だった。「N・P」や「ムーンライト・シャドウ」「白河夜船」あたりを読み直したくなった。
- 作者: 藤谷治
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/05
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 153回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2003/06/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
*1: 「冷血」は新訳がスゴい - わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるの記事が素晴らしい
*2:小田和正がミュージシャンになろうと思ったきっかけは、オードリー・ヘップバーンが窓辺に座り「ムーンリバー」をギターで弾き語りしている姿を見たことだと言う話を思い出した