浪漫と郷愁の街、函館を往く

10月12日。あの日の函館の上空は厚い雨雲に覆われ、時折、小糠雨が降っていた。

元町隅と湾岸風景。
霧の中の洋館、夕暮れの家並み、雪の街路、物語を秘めた港の情影。
一瞬の光と影の中に昔日の面影が重なる。
不可思議な郷愁を誘う港町、函館。
1859年、横浜、長崎と共に日本最初の貿易港となって以来、様々な異国の文明、文化の玄関口となった当時の面影を今もなお残している。
外国船によって持ち込まれた文化と、開拓を夢見た先人たちの気概が反映されて、様々な様式の建物群がエキゾシズムを醸し出す。
歴史と佇まいの中に異国的なものを混在させた浪漫の香気が漂う。
ここを訪れたならきっと、遠い昔に聞いた物語の舞台に彷徨ったような感慨を誰しも抱くであろう。






いつか再び、大切な誰かとここを訪れたい。
願っていたことさえ忘れていた。


五稜郭公園。大沼国定公園。金森赤レンガ倉庫群。函館朝市。旧桟橋。函館連絡船記念館摩周丸ブルームーン。外人墓地。大三坂。幸坂。基坂。八幡坂。旧函館区公会堂。旧イギリス領事館。はこだて明治館(旧函館郵便局舎)。函館ハリストス正教会カトリック元町教会。函館聖ヨハネ教会。トラピスチヌ修道院トラピスト修道院日本基督教団函館教会。函館市文学館。旧遺愛女学校宣教師館。遺愛幼稚園。旧北海道庁函館支庁庁舎。函館博物館郷土資料館(旧金森洋物店)。中華會館。旧ロシア領事館。旧函館博物館。元町観光案内所(旧北海道庁函館市庁庁舎)。函館市水道局元町配水場管理事務所。旧開拓使函館支庁書籍庫。相馬株式会社。北海道立函館美術館。金森美術館。北方歴史資料館。箱舘高田屋嘉兵衛資料館。啄木浪漫館。啄木小公園。函館市営熱帯植物園。湯の川温泉立待岬松前城


愛するこの街に見所は溢れている。とりわけ大好きなのは大沼国定公園と旧函館区公会堂。そして、函館山ロープウェイだ。


大沼国定公園では既に葉が色づき始めていた。

今回二人で宿泊したのは函館大沼プリンスホテル。熱気球やゴルフ、カヌー、乗馬が楽しめるリゾートホテルで、露天風呂の雰囲気も素晴らしい。

部屋からの眺望は格別。まるで絵画のようだ。

眺望といえば函館山からの夜景。香港のビクトリアピークとナポリのポジリポの丘と共に世界三大夜景のひとつに数えられている。

旧函館区公会堂は1910年に建てられ国の重要指定文化財にも指定された明治を代表する擬洋風建築(コロニアル・スタイルの洋館)。

まず目を引くのはベースが青みがかったグレイで枠周りが鮮やかな黄色の配色。
正面のポーチやベランダを支える列柱はコリント風でありながら柱頭飾や彫溝は和風の意匠になっている。
北海道庁豊平館をはじめとする北海道の木造2階建ての擬洋風建築特有の屋根窓と棟飾柵。
破風飾には唐草模様の意匠。
館内装飾にはアンカンサスをモチーフとした意匠が多用されており、シャンデリア、壁面や出入口や窓枠の各上部、階段の柱頭と至るところに飾りがある。
貴賓室の壁紙やマントルピースの飾りタイルはアールヌーボー調に統一されている。



最大の特徴は、430平米(畳260枚分)もある大広間に柱がひとつもないことだろう。これはヴォールド天井であるためである。

ふと外をみれば、雨上がりの曇り空に二重虹がかかっていた。

旧イギリス領事館に併設のカフェの店先に飾ってあったライト。




旧イギリス領事館で出逢ったうちの新しい住民。