水が合う

古くから僕を知る友人は口を揃えて言った。
「大阪?inmymemoryに合いそうだね」
神戸空港に着いてすぐに感じたあの安堵感はなんだろう。
前世があるなんて少しも信じていないけれど、初めて足を踏み入れた土地とは思えない、懐かしさを覚えた。
それは函館のときにも感じるのだが。


思っていた以上に横浜に愛着が湧いているから、同じく文明開化の玄関口となった港町にいると郷愁に誘われるのかもしれない。


飛行機から降りた途端、関西弁が自然と口をついて出てきた。元々関西出身の友人がいたからなのだが、調子に乗って関西弁でまくしててながら見知らぬ土地を二人で歩いていたら、交差点の真ん中で不意に妻が泣き出した。
「なんでや?」
「だって・・・」
「なんやねん」
「急に私だけが土地の言葉が話せなくて、一人ぼっちになった気がしたから・・・」
「ややこしいやっちゃなー。タイガースファンゆうだけで友達なんかなんぼでもできるやろ」
「・・・」
「わかったわかった。とりあえず飯食おう、飯」


それ以来、彼女が泣くことはなかった。
なんせ食いだおれの街だからね。