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起爆剤

poem

元来、世界で文学といえば、詩であった。

 
 現代のような小説が主流になったのは、
まだほんの百年にも満たない。
 西洋では詩も絵画も音楽も貴族のためのもので、
 市井の臣に芸術は存在しえなかった。
娯楽としての芸術としては舞台が中心で、
のちに今の映画やドラマに繋がっている。
  
19世紀末から芸術潮流が長く続く時代は終焉する。
 矢継ぎ早に様々な革新が起こる。
イタリアでは舞台と音楽が融合しオペラとなり、
ジャズのモードと映画が盛んになったアメリカでは
 ミュージカルが発展した。
 建築、ファッション、写真、漫画、宝飾、陶器、広告。
アートは生活に結びつき、流行とモードを作り出した。

いつしか、詩は晦渋で欺瞞に満ちた存在とされ、
 川柳や短歌のように親しまれず、敬遠されていく。
 今やどうであろう。電車やバスに乗る人々は、
スマホタブレット無しでは呼吸もできないかのようだ。

空を流れる雲の流れをただ追いかけ、
水面を渡る風に目を見張り、
 霖雨が明けた泥濘の水溜りに青空を見つけ、
 吹く風の変化を深呼吸で受け留め、
 見えてくる自らの秘めた思いと対峙する。
  
       本当はどうしたいのか。
        誤魔化してはいないか。
         なにに縛られているのか。
        どう取捨選択すべきか。
  
      詩は書く者に真情を吐露させる
          起爆剤となる。

     詩は読む者に書く者を投影させ
          カタルシスとなる。

元来、世界で文学といえば、詩であった。

フランス詩大系

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