これは最高傑作になるかも

以前、海外ドラマ、韓国ドラマ ベスト50&日本の連ドラ ベスト10でも書いたように、僕にとって「世にも奇妙な物語」の「記憶リセット」は特別な存在だ。しかもこの作品はそれまで女優兼歌手であった相沢友子が小説「COVER」で注目され、脚本家に転身した記念すべき第1作目にあたる。その後の活躍はここに書くまでもないが、とりわけ名作ラブコメドラマ「やまとなでしこ」の第8話「やさしいウソ」は忘れ難い。


 子供時代の貧乏のトラウマから「世の中で一番大切なものはお金」とういう哲学を持つようになり、玉の輿に乗ることだけをミッションに生きてきた桜子が、その信念を初めて曲げ「あなたのよく行くところに連れて行って」と貧乏な欧介を誘う。パチンコ店やバッティングセンターでおおはしゃぎする二人。これこそが「たった一人の人にめぐり逢えた」愛する二人の姿であろう。女性の本音を鋭く突いたこのドラマには、あらゆるシーンで細かい仕掛けが散りばめられていて、それだけで3つは記事を書けるが、今回はこれが本題ではない。


万城目学直木賞候補作になったときは正直、タイトルの奇妙な印象で食わず嫌いしてしまった「鹿男あをによし」。このドラマ化に相沢友子が脚本を担当したとなれば看過できない。
世にも奇妙な物語」「白鳥麗子でございます!」「王様のレストラン」「ロングバケーション」「ショムニ」「古畑任三郎」「HERO」手掛けた鈴木雅之の演出も、このドラマ独特の空気感を形成している。

これまでの放送を見ての感想はタイトルに書いた通り。奇想天外な設定であるが、1707年の宝永大噴火等の史実と干支や日本古来からの伝承を見事に拝借した原作の着想をうまくブレンドし、秀逸なファンタジーに仕上がっている。


最後に、原作の美しい奈良の描写を味わってからドラマを観賞することをお勧めしておく。題名に奈良の枕詞である「青丹よし」を付けただけのことはある。 *1


万城目学「鹿男あをによし」

*1:このドラマを観て「あをによし 意味」でググった人も多いことだろう。語源については「からしら萬朝報 TODO JOURNAL」の記述が詳しい