いつか、あの人と
いつか愛する人と行きたいレストランがある。*1
散歩がてら山の手の小さなレストランまで歩く。ひとりでカウンターに座ってシーフード・ピザを注文し、生ビールを飲む。一人の客は僕しかいない。(中略)運ばれてきたシーフード・ピザには「あなたの召し上がるピザは、当店の958,816枚目のピザです」という小さな紙片がついている。その数字の意味がしばらくのあいだうまく呑み込めない。958,816? 僕はそこにいったいどのようなメッセージを読みとるべきなのだろう? そういえばガールフレンドと何度かこの店に来て、同じように冷たいビールを飲み、番号のついた焼きたてのピザを食べた。僕らは将来についていろんなことを話した。そこで口にされたすべての予測は、どれもこれも見事に外れてしまったけれど…。
村上春樹「辺境・近境」
訪れる度に、その日のデートがナンバリングされてカードが贈られる。
そんな、ふたりだけの想い出が刻まれたカードを、1枚また1枚、増やしていきたい。
いつの日か ふたりの好きな あの店で 集めたカード 並べたい午後
2005/06/09 19:28初出