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最愛の一冊と至福の読書空間

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 気付いた人も多いと思うが題は「野性時代」2007年11月号の特集名から。当該号では巻頭特集の他にも、野性時代初登場の伊坂幸太郎古川日出男石田衣良による新境地短篇が読める。また、短篇ミステリの愉楽に掲載された有栖川有栖貴志祐介の短篇も楽しい。それよりなにより、これを購入した最大の理由は、1996年にヒューゴー賞を受賞した、モーリーン・F・マクヒューの名作「リンカン・トレイン」が柴田元幸の訳で本邦初訳が所収されている点だ。これにより、この雑誌は後年貴重な古書となるであろう。
 閑話休題。最愛の一冊と至福の読書空間。なんという美しい言葉の響きであろうか。自身のはてなダイアリでも紹介していた森見登美彦もこの特集で“最愛の一冊”に何を選んだのかを日記では伏せているので、発売中の今は本の題名を明記することは自粛する。“至福の読書空間”については、恩田陸がオーキッドバー(@ホテルオークラ)のシックな照明の下で読書している姿はあまりに容易に想像つくので少しくすぐったかった。堀江敏幸が砧公園の陽だまりのベンチで佇む姿も然り。そういえば(ソースは失念したが)深津絵里にとって理想のデートは「互いに背を向けて座り互いにもたれかかりながら別々の本を読む」であるというのをずいぶん前に知り、以来いつか実現しようと妄想しつつ、いまだ達成していないことを思い出した。

本を読む人の様は、人間の様々な行為の中で最も美しい姿のひとつなのではないだろうか。

さて、そろそろ至福の読書空間へと向かうとするか。何を読むかって?それはもちろん、あの美しいドイツの至宝ヨーゼフ・ロートの「四月、ある愛の物語」。

聖なる酔っぱらいの伝説 (白水Uブックス)

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