2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘルマン・ヘッセの訳詩8選

ノーベル賞作家であるヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の小説を子供の頃に読んだことがある人は多かれど、彼の詩を好んで読んだ人はそれほど多くはないだろう。 しかし、彼の作った抒情詩の数は夥しく、また重要である。 とりわけ印象に残る――内省的な魂の遍歴…

日本の近代詩に影響を与えた訳詩集傑作選その2

前回の記事で採り上げた『日本の詩歌28 訳詩集』(1969年)から25年後に発行された、 『近代の詩人 別巻 訳詩集』(編:加藤周一 1996年潮出版社刊)に 新たに収録された訳詩集は、加藤周一が選定で大いに教示を受けた 谷川俊太郎編『愛の詩集』をはじめ、 『中…

日本の近代詩の夜明けと訳詩傑作選

■ 日本の近代詩の歴史 (新体詩の誕生から現代詩以前の時代) 日本に於いて、こんにちの「詩」という言葉は元来、漢詩を意味していた。1882年に官学者の外山正一、矢田部良吉、井上哲次郎が『新体詩抄』を啓蒙の一端として出版したものが、近代詩のはじまりで…