ある女の子
これは夢だろうか
ほかにはなにもなく孤独で生きていたこの地に
ある日、ひとりの女の子が歩いてきた
不思議さ
ここでぼくはひとりぼっちと
あきらめていたはずなのに
なぜだか来るのを知っていたような気がする
ここは
草原
青い空
青い海
ここにあるすべてが見慣れていて
ありふれていて
草原でただひとりの大きな樹の
ぼくの視線に女の子は気付き
恥ずかしくて僕は言葉を失う
彼女はだまってぼくのそばに腰をおろした
水
緑
ぬくもり
光
水
緑
ぬくもり
光
なにもないと思っていたここには
彼女の求めるなにかであふれていて
その満たされた表情にはやすらぎを感じる
彼女の頬を伝う涙の訳はなんだろう
水
緑
ぬくもり
光
彼女はそっとぼくにくちづけをしてくれた
するとこらえていたなにかが
ぼくの体から急にあふれだした
ぼくのその変化に彼女も気付き
彼女は再び涙を流した
そうして目が覚めた
おしえて
なぜ彼女が涙をながしたのか
おしえて
ぼくには分からないから
ぼくにはわからないから
※2006/03/21 10:55初出*1