白紙の未来
2007年07月19日02:16
星の王子さまが地球にやってきて狐と出会った時、狐は星の王子さまに言った。
「apprivoiser」
これを“飼い馴らす”と訳す本が多い。
池澤夏樹訳「星の王子さま」は、この語本来の意味である
“時間をかけて絆を作る”に近いニュアンスで訳している。
原文ではapprivoiserという言葉が幾度も登場するが日本語には、ぴたり当て嵌まる表現はない。
文脈から登場人物の気持ちを察し、成る丈近い日本語を探し、尚且つ、自然な流れになるように文体を整える。
言葉がもつ意味
言葉が奏でる響き
言葉が齎す情感
それらを大切にするために、時間をかけ、意を注ぐ。そういうものでありたい。
言葉によって思いを伝え
言葉によって傷つけ
言葉によって鼓舞された
これまで生きてきて、得たもの、失ったもの、そのいずれもが言葉であった。これからもきっとそうであろう。
だからこそ、言葉を磨くことで、まだ白紙の未来に自分の思いをありていに乗せていきたい。
言葉が未来を切り開く。そう信じている。