神の見えざる手

Date: 21 Jul 2007 13:34:39
Subject: 神の手

こんにちは!お久し振りですね〜びっくりしました!
元気にしてますか?
正直私はあれからどの位経ったのか忘れる位
日々過ごしてました。

(中略)

台風が過ぎ去った沖縄の空の雲の隙間から
神の手が現れ太陽が現れたのです。

神が太陽を運んで来たようにも…
雲を開いてるようにも…
まさに神の手です

☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆


きみに2年半ぶりに送ったメールの返信は、
不思議な結びだった。


そこに書かれてあるように、
たしかにこの写メはそのように見える。


まるで、ぼくときみとのこのやりとりさえも
すべては神の手の内にあるかのようだよ。


ふと、きみの顔が浮かぶことがあったんだ。
あの頃、毎晩、どこかの店に二人で入っては
夢を語り合っていたね。
カラオケにケーキにラーメンにパスタにステーキに。

きみの誕生日に、めずらしく飲み過ぎた僕は
酔って怪我をして、ずいぶんと心配かけたね。


そして、あの最後の日。
いつものように徹夜で語り明かした後の、
粉雪の降るススキノの朝。


「…もう、逢わないようにしよう」

「そうね。…ごめんね。私気づかないふりしてたの」

「わかってたさ」

「でもね、あなたがいつも大きな夢を語ってくれるから、
 私も影響受けて、こうやって目標をみつけることができたの。
 心から感謝してるの。それは、本当よ。 
 私、いつか、夢かなえるから。
 だから、そのときには、逢ってお祝いしてくれる?」

「もちろんさ。特別な日にするよ」


帰りの電車を降りるときに届いたメールを僕はきっと忘れない。

「なんかさ、ほんとにお別れになると思うと寂しいよ。
 これまであなたの優しさに甘えてばかりだったから・・・。
 でも、また逢えるように私、頑張るね。
 うちの親が昔よく聴いていた曲にこんな歌詞があるの。


 さよならは別れの言葉じゃなくて
 再び逢うまでの 遠い約束…」


僕はその曲が聴いてみたくて、ネットでダウンロードして
繰り返し繰り返し聴き返した。


その2年後にリバイバルヒットするなんて
あの時は思いもしなかった。


まるで、僕やきみが描いた夢のゆくえさえも
すべては神の手の内にあるかのようだよ。


2007/7/22 08:19初出